2025年度さいごのひ Vol.281「梢(こずえ)に小鳥が一羽とまっている。澄んだ声でさえずる鳥だ。(中略)思わず見惚れて、ふっと息をした瞬間、小鳥は飛び去る。もはや梢には影さえ残っていない。ただ枯葉が揺れているだけだ」小川洋子『博士の愛した数式』には、博士が「1-1=0」の数式で「0の美しさ」を語る場面が登場する。小説を読んでからかなりの時間が経っているにもかかわらず、私はこの「0の美しさ」の説明を今でも思い起こすことがある。1-1=0景色の中からいなくなってしまった鳥。だけど今日は、こう思ったんだ。鳥はどこに行ったのだろう。*********30Mar2026
桜のはなし Vol.280「news zero」が始まる前まで櫻井翔さんはFM FUJIで「SHO BEAT」というラジオ番組を持っていた。それは日曜日の17時から始まる番組で週末に山梨から東京へ帰る時間父に甲府駅まで送ってもらった後、列車に乗り込むタイミングでよく聴いていた。そして、番組が終わる頃にちょうど列車はトンネルに入りしばらくラジオは聞こえなくなった。2004年、そのラジオで「ペンの指す方向」という曲が流れた。それは自身の大学卒業に合わせて作られた曲でその後の「Still..」のラップ詞はこの曲を想起させるものだった。交差するペンの指す方向といつか笑ってまた再会する未来の約束。2004年、桜が満開の頃に私の父は亡くなった。きれいに咲いた桜を見せてあ...28Mar2026
しとしと Vol.278雨ですね。しとしと降っています。きょうは日にちを間違って思っていたことがあり自分はバカさ加減を知ることになりました。まあそのほかのことはつつがなくできたので特に問題はなかったのですが。しとしと降る桜雨の夜。25Mar2026
eye Vol.276人と話しをする時には相手の目を見ることとよく言われる。2020年以降のマスクをする場面では顔の中で見えているのは、目だけだった。だから、相手の目をよく見ていたしそれ以前よりも注意深く目からその人の心情を把握しようとしていたように思う。笑っている好意的に話しをしてくれているそんな表情もすべて目を見て感じ取っていた。そのような時期は想像していたよりも長くなりその頃に出会った人の前でマスクを外すのはとても勇気のいることになっていた。初めて顔を見ることができた時には嬉しかったけれど脳内では (自らの手で)その人の鼻や口を隠すようなイメージで目元を確認し声を聴いてそれが誰かを判別した。マスクの時期に出会った人とはその後もマスクをしている時のほ...22Mar2026
number of times Vol.274かつて『ゾウの時間 ネズミの時間』という新書がベストセラーになったことがあった。それはからだが大きくて数十年生きるゾウもからだが小さくて1~3年程しか生きないネズミも一生に打つ心拍数や呼吸の数はほぼおなじという説を説いたものだった。哺乳類が一生に打つ心拍数は約20億回呼吸数は約5億回なのだという。今、私の心拍数は何回目なのだろう。日々出会う人やいきものは違う心拍数の回数を打ちながらも言葉を交わし同じ空気を吸うことができる。のんびりみゃくをうつ私が「ごはん?」と言ったら速くみゃくをうつもふもふが「にゃ~」と答えたりする。とまらない時間。いきもの(自然)の本質は、変化なのだ。。。(ふう)なぜかこのところふとこの話を思い出してしまうのはき...21Mar2026
Moulin de la Galette Vol.272破壊を目の前にすると思考がそして、感情が止まる。破壊ではなく、創造を悲哀ではなく、歓喜を憎しみではなく、慈しみを荒廃ではなく、奇跡の星を語りたいのに。悲しい絵を一枚も描かなかったルノワールが好きだ。国立新美術館でこの大きな絵を目の前にしたときここから離れたくなくなって何度も絵の前に戻った。記憶の中の美しい木漏れ日と笑顔に包まれて眠りたい夜だ。02Mar2026