やっと来た Vol.201お墓参りに行って道の駅で新米を買った。家の近くでは今年のお米はまだのようだけれど北杜市では収穫が終わった田んぼのほうが多い様子だ。ススキは穂を垂れているものと思っていたが長引いた暑さのせいかこちらはきっと垂れる前。まっすぐに立っている姿がなんだか不思議だ。やっとやってきた秋を実感したお彼岸。23Sep2024
言葉 Vol.200仕事では取材に行ってインタビューをさせていただくことがある。その相手は有名な方の場合もあるし、企業で働く方の場合もある。私はその方に向かってテーマに沿った質問をしていくのだがその中に、必ず入れておく内容がある。それは「これまで仕事をしていて一番嬉しかったことはどんなことですか」「お客様とかかわるなかで一番嬉しいと感じるのはどんなときですか」といったものだ。「重要なこと」や「価値を感じること」ではない「嬉しかった」「悲しかった」ことだ。その日、初めて会ったばかりの私に人生で一番嬉しかったことや悲しかったことを聴かれるのだから聴かれた方は、必ずしばらく考え込んでしまう。だが、その時にはこちらからその場を和ますための話題を振ることはしない...13Sep2024
残る仕事 Vol.199人類最大の発明は何か? 火、言語、車輪・・・。アインシュタインはそれを複利だと言ったそうだが個人的に、それは紙だと思っている。「紙はなくなるのか」の議論とともに衰退する業界とも言われた出版界。紙の本の流通量は減少しペンで文字を書く機会は減ったが人々が文字を目にし文字を使って情報発信する機会は増えている。個人的にも書籍や雑誌に加えてさまざまなウェブ媒体のお仕事をする機会が増えているが「この記事はきっとしばらくしたら削除されるのだろう」と思うとデジタルコンテンツの儚さも感じる。 紙の書籍を作っていたときにある上司が「この仕事は残る仕事だからね」と言った。自分のした仕事は、物体としてまさにそこに出現するものだった。出来上がってき...13Sep2024
カワウ Vol.198湖のほとりで空を見上げたら黒くて首が長く、嘴の部分が黄色い鳥が二羽そろって飛んでいた。調べてみるとどうやらカワウらしい。カメラを持っていなかったことをとても残念に思いながら青い空に映える黒と黄色を目に焼き付けた。きらきらと光る水面。鈴音のように心地いい声の響き。美術館でお気に入りの作品に出会ったときのように視覚と聴覚がほころんだそんな日曜日。08Sep2024