杏 Vol.141白州に行ったら庭に杏(あんず)の花が咲いていた。梅に似たかわいい花で初夏に実をつける杏の木。手元にあったスマホで撮影したけれどどうもイマイチだったので本日はこのようなかたちで。。ああ、やっぱりカメラを持っていけばよかったなと思った日。お彼岸の日曜日。19Mar2023
書く人 Vol.140図書館のカウンターの横、大江健三郎特集の前面に立てかけてあった本を、まるでお店のレジ横にあるお菓子を衝動的に手に取るように借りてきた。こんな借り方をしたのは初めてだったので自分でも不思議だった。建物を出たところで待てずにページをめくると、「3.11後」という文字が目に飛び込んできた。そこに登場するのはテレビで東日本大震災の番組を観たあとに「ウーウー声をあげて泣く」主人公の小説家。雑誌への初出は2012年だ。「これは私小説ではない」と明言されているという本書だが、あえて作家本人を想起させる主人公が現実に向き合う姿に「なぜ今読まなければと思ったのだろう」という想いの答えを見たようだった。文章を作成する仕事をしていると必要な情報の調査ばか...15Mar2023
ちいさなしあわせ Vol.139「これから出会う人とは、さよならを言わなくてすむね」大学を卒業するときに友人とこんな話しをしたことを想い出す。大学の構内を歩きながらみんなにさよならを言うのが悲しくてきっと私たちはこんな話しをしていたのだ。そしてそれぞれの日々をスタートした私たち。実際にはさよならなんてすることもなくただ顔を合わせる頻度が減っただけのことだった。だけど毎日飽きるほど顔を合わせていた日々は胸の中から消えることはないしずっと、心の中にある。それはその後に出会った人もその前に出会った人も同じだ。さりげなく偽りもなくちいさなしあわせをくれる人。生きてさえいればどんなに距離があってもどんなに時間がかかっても会いたい人にはきっとまた会える。そう信じている。10Mar2023