富士山誕生に縁の「申年」の今年、行きたい場所【山梨県富士吉田市】Vol.3

富士山講の人々が江戸をはじめ関東一円から訪れた富士吉田市の御師町。「御師 旧外川家住宅」は、世界文化遺産の構成資産にもなっている御師の家だ。

中門をくぐると、敷地内には季節の草花。ここは、自然を感じさせてくれる空間。豊富に流れる水音も心地よく響く。この「ヤーナ川(間の川)」と呼ばれる小川には小さな滝も作られ、禊も行われていたという。

靴を脱いで建物内に入ると、畳が清々しい。御師の家に宿泊した人々が、どのように過ごしていたのかを今に伝えてくれる品々が展示されている。

講をつくり、その年の代表として訪れた人々は、家族や仲間たちの分の祈願も担って富士山を目指したという。富士山が誕生したとされる「庚申」の年は60年に一度の「御縁年」とされるが、2016年の今年も申年で「小縁年」。通常よりご利益がある年とされている。

関東各地の地名を冠した講の衣服や文書に、当時の賑わいの様子を知る。


奥屋敷には、木花咲耶姫を祀る御神前もあり、神職として祈祷なども行った御師の様子を知る。ここは、時を超えて息づく「文化」に触れることができる場所だ。


一方、近代的な展示が印象的な施設が、今年オープンした。世界文化遺産「富士山」を語る上で拠点となるであろう場所が、「富士山世界遺産センター」だ。


世界文化遺産として登録された「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」は、なんと25か所の構成資産からなっている。ここでは、各地に点在する「構成資産」を、包括的かつ番号ごとに把握することができるのがポイント。

展示を楽しんだあとにカフェでいただきたいのは、「溶岩ドック」。“まるで溶岩”なビジュアルとはかけ離れた、パンの自然派な味わいに気づくかも。