大正ロマン漂う日本建築の美術館。ゆったりとした時の中に息づく日本画、そして日本酒【長野県佐久穂町】Vol.001

千曲川沿いの町、長野県佐久穂町。小海線の八千穂駅の目の前に、奥村土牛記念美術館はある。ほんのり雪化粧した、きれいに手入れされた松が出迎えてくれる日本建築の美術館。正面に立つだけで、凛とした心持ちになり、格調の高さを感じさせる。


ここは、日本画家・奥村土牛の美術館。かつて黒澤合名会社の社屋・迎賓館であった建物で、大正期の風情を残す建築がゆったりとした時間の流れを感じさせる。戦後、敷地内の離れに奥村土牛が疎開していたという縁から、現在は奥村土牛記念美術館となった。

展示されているのは、奥村土牛の素描だ。庭は、季節ごとに景色を変え、鳥も訪れるであろう。そして、2階からは千曲川が流れているのが見える。自然を描く日本画の源がここにあるかのように、時がゆったりと流れる場所。だからだろうか、ここにある作品1点1点に、画家の視線がいきいきと生きているようだった。

この美術館限定の干支を題材にしたデッザンの絵葉書が魅力的だ。

佐久穂町誕生10周年 美術館開館25周年記念 ご来館特典ブックレットには、美術や建築の専門家のインタビューが掲載されている。

目の前には、小海線の八千穂駅。木彫りのふくろうがお出迎え。

美術館の前の通りは、素朴な酒蔵の素朴な街並みが美しい。利き酒や酒蔵見学もできるようだ。酒蔵を改造したというギャラリーくろさわでは、ちょうど写真展が開催されていた。

併設の喫茶の雰囲気も素敵。お酒の香りが漂うケーキとコーヒー。小さな旅をした気分にしてくれる蔵の町。


*** Deta ***

◆奥村土牛記念美術館

長野県南佐久郡佐久穂町大字穂積1429-1

◆ギャラリーくろさわ(黒澤酒造)

長野県南佐久郡佐久穂町穂積1400



Ki・Ma・Ma いつもの日々 with camera

ANTIQUE × Camera 変わらないのがいい、いつもの日常。