ちょっと遠くまで和紙を買いにでかけた。
そこには地元のものだけでなく全国各地の和紙が置いてあるので、きっと望みのものがあると思ったのだ。目的地までは、車で数十分はかかる。紅葉した山や川の流れを目にしながら、そこへと向かった。
店内をすべて見て、決めたのは、残り1枚となった和紙だった。そこには同じ製品はもう作られないと記されており、最後の1枚を手にしたら本当に引き出し式の商品棚が空になった。
「もう1枚あれば、2枚ほしかったな」
そう思ったけれど、たくさんある和紙の中で気に入ったのはこれだけだった。
だから、最後の1枚に出合えたのはむしろ幸運だったのだ、と思う。
私は、本当に気に入った和紙を買うことができた。
そして、それは購入したのと同時に
決して失敗ができない……たった1枚のたいせつな和紙となった。
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