「世の中に新しい創造などない、あるのはただ発見である」
ーーアント二・ガウディ
数年前に観た「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」という映画。
インタビューで紡いでいくその映画の中の「自分たちの名前は残らなくても、このプロジェクトに関われることだけで誇らしさでいっぱいなんだ」という現場監督ジャウマ・トーレギタルの言葉にしびれた。
なぜアント二・ガウディは、後世の人が必ず完成させてくれると信じたのだろう。自然界のモチーフを取り入れるだけでなく、その構造までも模したサグラダ・ファミリア。スペインでもフランス国境に面したカタルーニャ州にあるバルセロナの街にサグラダ・ファミリアはある(いや絶賛建築中だ)。古くから国際色豊かで独自の言語や文化をもつカタルーニャに生まれたガウディは、カタルーニャ人であることに誇りをもっていたという。
生きている間に完成しないかもしれない仕事。実はそのような仕事はたくさんあるのだろう。自然や科学を研究する者は、世界はヒトがまだ目にしたことのないもので溢れていることを知っている。たった数十年の命では研究しつくせないことばかりだ。しかし、彼らが残した結果は次代へ、また次の代へと受け継がれていく。
ただ種をまくだけでも、人生は終わる。そして、それを受け継ぐだけの人も。
さて、2021年が始まった。「今年こそよい年に」という気持ちがくじけそうな日々だ。だが、希望だってなければ生きていけそうもない。もう、その希望をつくるところからはじめよう。そう、きっと今がゼロ地点。
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